父親たちの星条旗

 

★はじめに

このレビューは、父親たちの星条旗を既に観ていることを前提に書いている。
よってネタバレ注意、とはいえ推理物でもないのでネタバレしてても十二分に楽しめるが('='

★ストーリー

ウィスコンシン州で葬儀社を営むひとりの老人が、長い人生に別れを告げ、最後の時を迎えようとしている。
彼の名前は、ジョン・”ドク”・ブラッドベリー――1945年、海軍の衛生兵として硫黄島の戦いに赴き、海兵隊員
たちとともに激戦を戦い、そこで撮られた1枚の写真によってアメリカ中から”英雄”と讃えられた男。しかし、
彼は、その後の人生の中で、硫黄島について家族にひと言も語ろうとせず、アメリカ中に知れ渡った写真に
ついてもひたすら沈黙を押し通した。硫黄島で何があったのか。父はなぜ沈黙を続けるのか。父親の人生を
知るために、彼の息子が硫黄島の真実をたどり始める――。

太平洋戦争末期、硫黄島に上陸を果たしたアメリカ軍は、予想をはるかに上回る日本軍の防戦に苦戦を強いられ、
姿の見えない敵の脅威にさらされていた。壮絶を極める戦闘の中、摺鉢山の頂上に翻った星条旗。その1枚の写真が
アメリカ中を熱狂させ、6人の英雄を生み出した。星条旗を掲げた6人の英雄たちの名前は、マイク、フランクリン、ハンク、
レイニー、アイラ、そしてドク。しかし、硫黄島での勝利を宣言するはずの写真に写っていた6人のうち3人は、硫黄島から
帰ることはなかった。生還できたのは3人だけ――衛生兵のドク、アメリカン・インディアンの出自を持つアイラ、伝令係の
レイニー。祖国に帰還した彼らは、戦費を調達するために、アメリカ全土を巡る戦時国際キャンペーン・ツアーに駆り出される
ことになった。どこへ行っても熱烈な喝采を浴び、国民的英雄として祭り上げられる3人の生還者。派手な演出が施された歓迎
パーティが催され、戦死した仲間たちの母親をも巻き込んだセレモニーが続く……。

しかし、英雄扱いされればされるほど、彼らの苦悩は深くなっていく。その写真の真実は、人々の熱狂とは程遠いものだった。
語られることのないもうひとつの星条旗、入れ替わったままの6人目の名前、そして、何より彼らを苦しめたのは、脳裏から決して
離れることのない戦場での体験だった。1枚の写真が3人の運命をも変えていく。現実から逃れようと酒びたりになっていくアイラ、
千載一遇のチャンスをつかもうとするレイニー、そして黙したままのドクには、どうしても忘れられないひとりの戦友がいた。6人の
英雄の最後の生き残りとなったドク。沈黙に包まれていた硫黄島の真実が、少しずつ解き明かされていく――。

★感想

戦争は、必ずしも陰惨なだけではない――とは、たしか小林よしのりの「戦争論」に書かれていた言葉である。
神話とかを読み解けば分かるが、それは確かな事実である。戦争を賛美するわけではないが、上記の言葉には一面の真実が存在する。
たとえば神話において、英雄の多くは戦争で勝利をもたらした者であり、純粋に戦闘能力が高い者が多い(勿論、それ以外も存在するが)
(上記は近代以前の戦争にのみ該当することであり、現代戦には該当しない。現代戦は機械が人間を殺し、機械は決して英雄になれないからだ)
英雄になるとは栄光を手にするという事であり、栄光を手にするという事は多くの場合は沢山のものを享受できる立場を手にするということである。

父親たちの星条旗は、その光の部分に多くの時間を割いている。父親たちの星条旗は戦争映画ではない、どちらかといえば人間ドラマに該当するのである。
戦争半ばで帰還した3人は、英雄として厚遇を受ける。行く先々で歓待され、ギャグではないが名士からは名刺を手渡される。凡人ではなく、英雄として扱われる。

しかし英雄――現代的に言い換えるならば有名人、時の人といったところか――と讃えられるのは、必ずしも幸福なことであり幸せなことであるとは限らない。
光の中にすら闇は存在し、その闇に彼らは苦悩する。

未だ戦う戦友たちのために戦場に戻り戦おうとするも、叶わぬが故に酒に溺れ破滅へと堕ちていくアイラ。

千載一遇の機会を手にし成り上がろうとするも、戦後は誰にも相手にされないレイニー。

そして決して誰にも語らず、家族にすら語らずに逝くことを選択するドク。

そして、6人の英雄の中で1人だけ実は間違えられていた。偽りの英雄と讃えられる1人の遺族と、決して讃えられない真の英雄たる1人の遺族。
彼らは「英雄」という言葉に苦悩する、傍から思えばきっと素晴らしいことである筈なのに。

そんな物語、是非とも観ることをオススメする………とはいえ、もう公開は終わったのか?

★最後に

はい、何時ものモードに戻りますよ('A`)
途中、自分でも何が書きたかったのかよく分からなくなってきた駄文の見本ですな('A`)
レビューではなくて感想ってことで、お許しを………まあ、面白かったので是非とも観やがりなさい(*-*

 

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